前田いちご園のご紹介

前田いちご園 前田浩一さん
プロフィール
前田 浩一(まえだ こういち)さん
知覧出身。コンピューター関係の会社で働いた後、Uターンし、42歳の時にいちごの栽培と観光農園をスタート。市場に卸すスタイルではなく、産地直送の販売方法を模索し、生協での販売を開始。並行して観光農園の運営にも力をいれ、産直と体験提供の2本柱で安定した経営を実現させた。体験プログラムではいちご狩りの他にも、ジャムづくりやいちご大福づくりも提供し、ファミリーやグループなど多くのお客さんが訪れている。

サラリーマンを辞め、42歳の時に農家として再スタート
出身地の知覧町で、いちごの栽培やいちご狩り体験を提供している前田さん。
農業をはじめる前はコンピューター関係のサラリーマンをしていて、東京や鹿児島市で働いていました。
知覧に戻るきっかけについて伺うと、「親父が亡くなり、長男で一人息子だったこともあって実家を放っておけなかった」と話します。
そうして、サラリーマンを退職して地元に戻る道を選択。Uターン後、42歳でいちごの栽培と観光農園を開始。
平成8年に、農家として第二の人生をスタートさせました。

農業と観光農園をスタートさせた背景と当時の考え
実家が農家ではない中で、なぜ農業や観光農園を始めたのか?
その理由を尋ねると、「当時は知覧特攻平和会館や知覧武家屋敷に、年間100万人の観光客が来ていて、その中のほんの一部でも観光農園に引き寄せることができれば、と考えていました」
とはいえ、観光農園だけでは週末のお客さんは確保できるものの、平日はどうしても少なくなってしまいます。
お客さんの有無に関係なく農作物ができあがる中で、バランスの取れた経営を行うためには、安定した出荷先を確保する必要がありました。
「一般的には市場に出すのが主流ですけど、僕らの場合はいちごの産地として形成しているわけでないので、セリでは後の方に回されてすごく不利なんです」
せっかく出荷しても箱代にもならない時もあるそうで、そういった状況を避けるために、前田さんはサラリーマン時代のつながりを活かして、生協(生活協同組合)経由の産地直送販売を模索します。

産地直送と観光農園の2軸で、安定した経営を目指す
「生協へ営業に行ったはじめの頃は、箸にも棒にもかからなかった」とふりかえります。
「当時はまだ、いちごをつくったこともなかったので、そんな人間が『産直販売させてください』といっても断られて当然ですよね」
そこで前田さんが考えたのは、すでに生協経由で産直販売を行なっている農家さんを手伝いながら、いちご栽培を学び、紹介してもらう方法でした。
半年が経った頃、チャンスが訪れます。
「生協からは、正式契約はまだできないけれど、新規オープンする店舗で試しに販売してみようか、という話をいただきました」
出荷先が決まったことで少しずつ安定した経営ができるようになり、いちごの販売と観光農園を組み合わせたスタイルを確立していきました。
少しずつ成果を出していった産直販売に比べると、観光農園は早くから好評を得ていたようで「道に看板を出していたんですけど、すぐに外さないといけなくなりました」と驚きのエピソードが。

いちごの特徴を活かし、流通方法の違いでファンを獲得
「このままだと産直販売に出すいちごが足りなくなる、と看板は一旦引っ込めることにしました。はじめは、お客さんが来てくれる理由がわからなかったんですよね」と語る前田さん。
理由をお客さんに直接尋ねてみると「前田農園のいちごを食べたら、市場のいちごは食べられなくなるよ」と嬉しい答えが返ってきました。
しかし、前田さんとしては「美味しいいちごをつくるための技術を駆使しているわけでは無いのに……」と不思議に思っていたそうです。
すると,しばらくしてその謎に気づきます。
「いちごは収穫した瞬間に味と品質が急激に落ちていく作物なんです。一般的にいちごは完熟を待たずに収穫し、2〜3日ほどかけて市場で販売されますが、その間にどんどん味が落ちてしまいます。でも、我々の場合は朝採れたいちごを、すぐにパック詰めして、11時には店頭へ。流通日数がないので、いちごの完熟を待てるんです。それが味の違いにつながっていました」
栽培方法ではなく、流通方法の違いがファン獲得につながったと話す前田さん。
その後も口コミで広がり、現在もシーズンになると多くのお客さんが足を運びます。
これまでをふりかえると「とにかく楽しかった」
42歳でいちご農家を始めてから、休みなしで走ってきた前田さん。
慣れない農業の中で大変さはなかったですか? と質問すると「しんどかったとか、嫌になったとかはないですね。休みはなくても、とにかく楽しかったから」と明るい答えが返ってきました。
「サラリーマン時代はリフレッシュのために磯釣りに行っていたけど、いちごづくりを始めてからはストレスもたまらず、あまりやりたいとも思わなくなりました」
前田さんがつくる甘くて美味しいいちごはリピーターも多く、グループやファミリーのお客さんも多いそうです。
いちご狩りの他にも、事前予約をすればジャム作りやいちご大福づくりも体験できるので、ぜひ合わせてお楽しみください。
南九州市知覧町にある”いちご農園”で,毎年多くの笑顔であふれるいちご狩り。知覧の観光名所にも近いので、ドライブがてらお気軽にお越しください!
前田いちご園