はるとなりのご紹介
はるとなり 永山和博さん
プロフィール
永山 和博(ながやま かずひろ)さん
1978年生まれ。頴娃町出身。高校卒業後、お茶の専門学校で2年間学ぶ。卒業後は製茶の機械メーカーに就職し、3〜4年ほど働いた後、祖父から続く実家のお茶農家へ。現在は3代目としてお茶の生産を行いながら、日本茶を単一品種ごとに味わう新ブランドを構想。地元クリエーターと協力し、2021年4月に”シングルオリジン日本茶専門店 はるとなり”を本格始動し、生産地での体験プログラムも行なっている。
お茶が身近だった幼少期から、お茶農家を目指すように
南九州市の山あいの地域で、家業のお茶農家の3代目としてお茶づくりを行っている永山さん。
小さい頃から、自宅のすぐ近くにある茶畑やお茶の加工を行う茶工場(ちゃこうば)によく足を運んでいたそうです。
今と比べて、機械化が進んでいなかった昔の茶工場は手作業が多く、大人に混ざって一緒に手を動かしていました。
「お茶づくりに向き合う祖父や父の背中を見ていたこともあって、自然とお茶に関わる仕事をしたいと思うようになりました」
高校を卒業した後は、静岡県にあるお茶の専門学校に進学。日本各地のお茶の産地から訪れる同年代との学びは、刺激も多かったと話します。
卒業後は、製茶を行う機械メーカーに就職。県内のさまざまな営業所を移動しながら、3〜4年ほど働きました。
その後は、家業のお茶農家へ。
祖父から続くお茶づくりは、どんなはじまりだったのか
おじいさんの代から続くお茶づくり。当時はどんな形で、お茶づくりに取り組んでいたのでしょうか。
「元々は多分、本当に小さくやっていたんだと思います。山だった土地を買って、切り開いて、そこにお茶の苗を植えて、と少しずつ広げていったんだと……」
祖父から続く茶畑がある場所は、標高約300mの山の中で寒暖差が大きいエリアです。人間にとっては少々厳しい環境のように思えますが、日当たりの具合や霧深さが茶葉の生育に良い影響を与えてくれるそうで、お茶にとっては良い環境らしいです。
お茶づくりの1年間の大まかなスケジュールは、1〜3月で収穫の準備を整え、4月〜10月が収穫期。11月〜12月は比較的少し落ち着いた時期で、次のシーズンに向けて畑の管理などを行います。
20年間お茶づくりに関わる中で、さまざまな出会いがあったとふりかえる永山さん。コロナ禍には、地域で暮らすクリエイターと協力して、新ブランドを立ち上げました。
単一品種のお茶を味わう新ブランド”はるとなり”
一般的に販売されているお茶は、複数の茶葉がブレンドされています。
安定したおいしさを保つために必要な行程ではあるのですが、見方を変えると、「茶葉それぞれの特徴や味の違いがわかりにくい」ということでもあります。
そこで、永山さんは「品種の違いを楽しみながら、自分好みのお茶をブレンドする楽しさを味わってほしい」と考え、単一品種ごとの味わいを楽しむブランドをはじめることに。
「例えばワイナリーの場合、その年の葡萄の出来高によってワインの味が変わりますよね。同じようにお茶も単一品種それぞれに、その年の味わいがあるので、調整されたお茶のおいしさだけじゃなくて、種類ごとの味の違いも伝えられたら、おもしろいんじゃないかと……」
ブランドの実現には、知覧茶コーディネーターやデザイナー、カメラマンといった地元クリエイターが協力し、話し合いを重ねながら、2021年4月に”シングルオリジン日本茶専門店 はるとなり”を本格スタート。
シングルオリジンとは、特定の地域や原産地を表す言葉で、はるとなりの場合は、「永山さんから贈られる単一品種のお茶」という意味が込められています。
産地だからこそ感じられる、特別な日本茶体験
はるとなりの体験プログラムでは、5つの単一品種を飲み比べながら、自分好みのお茶をブレンドし、持ち帰ることができます。
――そして、春となった。
と書かれたパンフレットには、種類ごとの特徴が“コクとお茶らしい渋みを感じられる逸品”や、”夏場にお子様とぐいぐい飲めるお茶“という風に言葉で表現されています。
「シングルオリジンの本当の魅力は、産地にいかないと味わえない」と話す永山さんの体験プログラムでは、場所にも注目。
天気が良い日には、視界いっぱいの茶畑を眺めながら、青空の下でお茶を味わうことができます。
ワインに使われる葡萄の出来高が、その年の天候や状況によって左右されるように。畑で食べる採れたての野菜や、釣り船の上で食べる魚が格別な味わいになるように。
永山さんからその年の茶葉の特徴を聞きながら飲むお茶は、“格別の日本茶体験”といっても過言ではないでしょう。
豊かさを生み出す、仕事と暮らしの緩やかなグラデーション
3人姉妹の父親でもある永山さん。
10年ほど前には、実家の茶畑近くにマイホームを構え、休みの日は子どもたちと公園で遊んだり、自宅テラスでご飯を食べたりと、家族で過ごす時間も多いそうです。
自宅から茶畑までは、徒歩5秒ほど。
普段の暮らしについて伺うと、「お茶とともに生きている感じがしますね。日常の中にお茶畑があることは、自分にとってすごく良いです」と日々の豊かさを教えてくれました。
「普段はコーヒー派」という人も、永山さんが提供する産地での特別なお茶体験を、ぜひ味わってみてください。
日本一のお茶の産地・鹿児島県南九州市「知覧茶のまち」で
3代目として茶生産に励む生産者から
全国に「シングルオリジン(単一農家・単一品種)」の日本茶をお届けします。
はるとなり